作品概要
《最後の晩餐》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1955年から1955年で、ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

本作はレオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》をダリが再構成して書き直したものである。ダリの《最後の晩餐》には彼の科学、錯視そして宗教への興味が見てとれる。この時期の彼は熱心なカトリック教徒であり、同時に原子の時代の到来に驚嘆していた。
核神秘主義
ダリは自身でこの時期の彼の作品を「核神秘主義」と分類している。彼は伝統的なキリスト教のイコンと崩壊のイメージを組み合わせようと試みたのだ。こうした試みは本作の六年前に完成した《ポルト・リガトの聖母》にも強く表れている。
伝統的なキリスト教のテーマと不調和なシュールレアリズムの手法を組み合わせる手法はダリが過去の作品でも好んで使っていた手法である。
黄金比の活用
本作の構成には黄金比が使われている。背景にある十二面体ですら黄金比に近い比率を持っている。本作には多くの解釈が存在し、多くの批判にもさらされてきた。プロテスタントの神学者のパウル・ティリッヒは本作を「ゴミ」であると批判した。
カトリックの神学者のアンソニー・ノヴァクは2005年に本作に関する論文を提出し、ダリの意図は単純に最後の晩餐の場面を描くことではないのだと指摘した。他の批評家は使徒に個性がなく、彼らがキリストの方を見ていないこと、またキリストがほとんど消えかかっていることを指摘し、この絵画が実際の出来事を描こうとしたものではないと考えた。
キリストが自身を指さし、中に胸像が浮かんでいることから、彼は自分自身をすでに天に昇った精霊だと考えているのだと解釈するものもいる。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。