作品概要
《聖アントニウスの誘惑》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1946年から1946年で、ベルギー王立美術館に所蔵されている。

ダリが唯一参加したコンテストの作品
『聖アントニウスの誘惑』は、デビッド・レーブとアルバート・ルーウィンが制作した映画『ベルアミの個人的な仕事』で使われる「聖アントニウスの誘惑」の絵のコンテストに出品するために制作されたものである。
そのコンテストはダリが生涯で参加した唯一のものだったが、結果としてダリの作品が映画で使用されることはなかった。本作はダリの作品に典型的なシュールレアリズムの要素を多く含んでいる。
霊的世界への興味
ダリが霊的なものと現実世界を仲介することへの興味を表した最初の作品として、とりわけ重要である。現在はベルギー王立美術館に所蔵されている。作中で膝をついている人物が聖アントニウスであり、彼は一般的に考えられているように誘惑から人々を守るのではなく、むしろ誘惑を導いている。
ここでは彼は性的なイメージを乗せた誘惑のパレードを指揮しているように見える。後ろ足で立っている馬は、欲望の源であり、象の背中に乗せられたオベリスクはローマのミネルバ・オベリスクへのオマージュである。行進している象は男根的な塔の隣に、パラディウムを連想させる構造物を運んでいる。
象の後ろに見える雲の中には、エル・エスコリアル修道院が見え隠れし、霊的な世界と現世の乱れを暗示している。ダリは彼が霊的と考える主体を描き、彼らに隠された力を明らかにすることを選んだ。彼はすべての対象がこの力を持っていると考え、その力を彼の作品で表現し、彼自身もそれらを描くことを通じてそうした力を獲得しようと試みたのだ。
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