作品概要
《ホメロスの神格化》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1944年から1945年で、ピナコテーク・デア・モデルネに所蔵されている。

本作はダリがホメロスの神格化の場面を描いた作品である。ホメロスの神格化は芸術のモチーフとしては、古典主義と新古典主義においてよくある題材であり、ホメロスが神へと昇華する場面を描いたものである。
ホメロスは古代における英雄でしばしば崇拝の対象となってきた。もっとも初期の顕著なものとしては、大英博物館に展示されている、アケーレーアス作成の紀元前三世紀の大理石のレリーフが挙げられる。そこにはホメロスを崇めるために、エジプトの権力者や、オデッセイ、イリーアス、ゼウスをいった神々が行列をなして集っている様が描かれている。
19世紀から20世紀にかけて、この主題はウェッジウッド、アングル、そしてダリなどによって描かれた。ダリは幼少期に古代ギリシャの歴史や芸術から影響を受けた。多くの研究者はこの幼少期における出会いが、ダリのシュールレアリズムの作品に影響を与えたと考えている。
ダリの『ホメロスの神格化』はホメロスを壊れた彫刻として描いている。霊的な馬はおそらくペガサスで、騎手を振り落して天に昇ろうとしている。このように描くことで、ダリは人間の存在を考える方法としての神話がもはや通用しないこと、芸術だけでなく人間の思想や理性もまた変化しているということを表現している。
絵の右手ではガラが深い眠りに落ちているが、彼女の夢の世界はキャンバスの上の想像の世界において大きく展開している。様々なイメージや行為が組み合わされて、夢の世界として本作で表現されているのだ。
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