作品概要
《陰鬱な遊戯》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1929年から1929年で、個人所有に所蔵されている。

『陰鬱な遊戯』は『悲しげな遊戯』とも呼ばれている。この作品はパリにおけるダリの最初の展示会のために描かれたものである。サイズは44.4 cm × 30.3 cmで、ボール紙に一部は油彩で描かれ、コラージュの手法も取られている。
この時期のダリの他のいくつかの作品と同様の、本作のテーマは自慰である。このことは作中に描かれた巨大な手をした像と男性器のようなものを握っている像、ダリの性的な恐怖やまなざしから明らかである。
中央に描かれた渦を巻いものの中に配置されたモチーフのうち、中央右にあるのがダリの自己イメージである。彼の口はバッタで覆われているが、バッタはダリが非常に強く理由もわからない恐怖を抱いている生き物である。バッタは『大自慰者』をはじめとして、彼の他の作品にもみられるイメージである。
また本作ではフロイトの夢分析の手法も参考にされている。例えば、右側にいるひげを生やした男性は血に染まったハンカチを手に持っている。これは切断された性器を持っていると考えられ、虚勢を暗示しているのだ。また、パンツについてしまった汚物は、しばしば糞を描いたアンドレ・ブルトンからの引用だろう。
『陰鬱な遊戯』は大成功に終わったダリのパリでの最初の展示会の目玉作品となった。作品は将来彼のパトロンになる、ヴィコント・ド・ノアイユに買われ、彼の自宅のダイニングルームでルーカス・クラナッハとアントワーヌ・ヴァトーの作品の間に飾られた。
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