作品概要
《キャバレーの情景》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1922年から1922年で、個人所有に所蔵されている。

本作は1922年に描かれたダリの作品で、キュビズムとダリ初期の印象派の作風や、キュビズムと古典的なシュールレアリズムが実験的に組み合わされている。サイズは52cm×41cmで、キャンバス地に油彩で描かれている。ダリはスペインの芸術学校から放校されたのちに、パブロピカソの影響を受けてこの作品を描いた。
今作はダリ作品におけるピカソの影響を知る好例といえる。作品はフランソワ・プチが個人で所有しており、日本では諸橋近代美術館で見ることができる。ダリは当時最先端の娯楽であるキャバレーを描いたのだが、作品全体のトーンは黒が基調となっており暗いものとなっている。
しかし作品として見たときの印象は決して陰鬱なものではなく、活気を感じることさえできる。テーブルは天井からの視点で描かれる一方、人物は横から平面的に描かれており、その点にキュビズムの影響が見受けられる。
またダリは以下のようにキャバレーの体験を語っている。「一部が開いたドアの向こう側から、よく赤い手をした獣のような女たちが所狭しと走り回る音が聞こえてきた。彼女たちの大きいお尻やたてがみのような髪の毛が見えたりもした。マヨネーズがついたハサミ、ウサギの脇の下から摘み取ら毛皮、カナリアのさえずり、飛び散ったグレープフルーツ、汗をかいた女たちといったものから立ち上がる熱気と混乱。そういった状況の中で、次の料理の香りが、ツンとする馬の匂いと混じってかすかに漂ってきた」こうした彼の経験が本作の創作意欲となったのかもしれない。
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