作品概要
《六人の天使に囲まれた荘厳の聖母》は、画家のチマブーエによって制作された作品。制作年は1270年から1280年で、ルーヴル美術館に所蔵されている。

『六人の天使に囲まれた荘厳の聖母』はゴシック期のイタリア画家チマブーエの早期作品の一つである。1813年からルーヴル美術館に所蔵されており、今も尚ルーヴル美術館で展示されている。フランスに辿り着いた経緯としては、ナポリオンの軍隊が戦争中にジョットの『聖痕を受ける聖フランチェスコ』と共にサン・フランチェスコからフランスへ持ち帰った物であると伝われている。
『六人の天使に囲まれた荘厳の聖母』はウフィツィ美術館に所蔵されている『荘厳の聖母』よりも約10年前の1280年にて描かれた作品と伝われている。絵の構図も『荘厳の聖母』より前期のものであり、擬似視点の手法を使用せずに描かれている。図面の空間上に6人の天使達がそれぞれ違う場所に立ち遠近法を使用するのではなく、天使たちが一人ずつ前後に並んでいく形で聖母子を囲む構図となっている。聖母が座っている王座はチマブーエも『荘厳の聖母』にて描かれているものと類似している。『六人の天使に囲まれた荘厳の聖母』のフレームも特徴的であり、キリスト、四人の天使、預言者及び聖人達を描いた26個のメダイヨンによって飾り付けられている。
チマブーエのこの作品によって、聖母子を主題とする作品には新たなスタンダードが確立され、他の画家達にも影響を与えた。例えば、同じくゴシック期のイタリア画家であるドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャは自分の作品にて同じく6人の天使が王座に座っている聖母を囲む構図を使用し、『ルチェライの聖母』を作成した。
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