作品概要
《十字架のキリスト》は、画家のチマブーエによって制作された作品。制作年は1287年から1288年で、サンタ・クローチェ聖堂、フィレンツェに所蔵されている。

十字架のキリストは木製の十字架に描かれたテンペラ画で、フィレンツェの画家でありモザイク師でもあったチマブーエによる3つの大型の十字架像のうちの1つと考えられている。この作品は13世紀の終わり頃からフィレンツェのサンタ・クローチェ聖堂に掛けられている。
この作品は同聖堂のフランシスコ会の修道士たちにより嘱託されたものであり、技術的な革新と人間らしい図像表現で知られている。この作品の大部分が1966年の洪水被害により、損傷を受けた。 金箔の使用とモニュメント性はビザンチン様式の手法に通ずる。キリストの静的なポーズはより自然な博物学的観点も併せ持つ新しい手法で描かれる一方、ビザンチン様式の伝統も反映している。
この作品は、ゴルゴダの丘でのキリストの受難の真に迫った肉体的な描写を表している。キリストはほぼ全裸に描かれており、彼の目は閉じられている。彼の顔は生気を失い、敗北感にうちひしがれている。彼の体は死後硬直により倒れ、長期にわたる苦悩と痛みによってよじれてしまっている。
人間の苦悩の生々しい描写を模したこの作品は、アートの歴史上で重要な存在であり、ミケランジェロやカラバッジョ、ベラスケスからフランシス・ベーコンまで後の時代の芸術家に大きな影響をもたらした。
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