作品概要
《荘厳の聖母(サンタ・トリニタの聖母)》は、画家のチマブーエによって制作された作品。制作年は1290年から1300年で、ウフィツィ美術館に所蔵されている。

『荘厳の聖母(サンタ・トリニタの聖母)』は、中世のイタリア人画家チマブーエによって描かれた作品である。
本作の大きな特徴は、玉座の下部分に広く面積を割き、4人の預言者を描いている点である。預言者を描くことには象徴的な意味があり、アーチの中に上半身から上が描かれている。アーチの中の預言者の両端にはエレミヤとイザヤがおり、処女懐胎によるキリスト誕生の予言の実現を確認するかのような目で、玉座の下から赤ん坊を見上げている。救世主である赤ん坊は、玉座の真下に描かれている2人、アブラハムとダビデの子孫にあたる。
本作は神の子であるキリスト、キリストの母、そして聖霊という三つの要素に焦点を置いており、三位一体を唱える教会に飾るにはうってつけであった。
本作はもともとフィレンツェのサンタ・トリニータ教会からの依頼を受けて描かれたもので、当初は教会敷地内に飾られていた。しかしフィレンツェでルネサンスが台頭すると、飾られていた本作は1471年にアレッソ・バルドヴィネッティ作の『トリニティ』に取って替えられ、まず教会隣に位置する礼拝堂に移動されたのち、修道院内の診療所に移動された。現在はウフィツィ美術館により所蔵されている。
チマブーエを含む芸術家の列伝を記したことで知られるジョルジョ・ヴァザーリによれば、本作はチマブーエ作とされ、近代の学術者の大多数もその説を支持しているが、製作時期についてはっきりしておらず未だ議論されている。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。