作品概要
《超立方体的人体(磔刑)》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1954年から1954年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

今作は1954年に完成されたダリの代表的な油絵である。1954年に初めて展示されたあと、ニューヨークのメトロポリタン美術館に移された。移された後も世界中の国や都市を巡っている。また現在もメトロポリタン美術館にて展示されている。
この絵にはこれまでのシュールレアリズムではなく「核神秘主義」といわれる、カトリック思想だけでなく、数学、科学の思想が共に組み込まれている。最大の特徴はキリスト像の後ろの十字架である。従来の木でできた十字架ではなく、超立方体(四次元立方体)といわれる8個の立方体で構成されている。超立方体を十字架で表現することは、超次元的な神の姿を意味している。神は人間には理解しがたい空間のみに存在する。超立方体もまた四次元空間という、人間の存在する空間とは別の世界に存在する。
しかし、今回の十字架のような超立方体の集合体は三次元空間に存在する。これにより人々はキリストをより身近に感じることができる。タイトル部分の「corpus(集積)」は、キリストの体と幾何学的な超立方体を示しており、これもダリの宗教と数学・科学の関係を強めている。地上から浮遊しているキリストの姿はダリの欲望と苦しみを表現している。
その他の部分に着目してみよう。地上に立っている絵画下部の女性は、マリアとしてダリの妻であるガラを表現している。ダリは彼女を立方八面体を持つ完全な個体であると考えている。つまり、この絵画において、ダリの妻ガラは聖母マリアを、ダリ自身はキリストを表現している。
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