作品概要
《欲望の適応》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1929年から1929年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

本作は、ダリが初めてパリのカミーユ・ゴーマン・ギャラリーでの展覧会に、no.2としてアンドレ・ブルトンに属するという形式で出展したものである。1929年の夏に制作された本作は、ガラという名の年上の既婚女性との恋愛を通した、当時25歳のダリの性的欲望を表象した小さな石を描いたものである。ガラはシュールレアリスムの詩人であったポール・エルアーの妻であったが、ダリと出会った後は彼を生涯支え、ダリの作家人生におけるミューズともなった。
主題
本作はダリがガラと2人きりで散歩をした後に描いた作品で、彼は、その時自身の心に浮かんでいた、横たわる7つ玉を描いている。それらは、威嚇するかのようなライオンの頭部(本作の画題に対し、彼の欲望に適応的でないということを滑稽に示唆している)、かつら、さまざまな容器(ひとつは女性の頭部の中に入っている)、台のようなものの上で抱き合う3つの人体、そして蟻のコロニー(腐敗の象徴)などである。
ダリはライオンの頭部を一部あえて描かなかったが、むしろ、それらを子供の絵本であったはずのものから切り離し、彼自身の後期における細部描写のスタイルと巧妙に合致させている。
本作に見られるコラージュ的な要素は、どぎつい色の画面と、その他の画面の部分にある緻密なリアリズムの表現との区別がほとんどつかないふうに構成されている。この表現が、鑑賞者に対し、記録されている現象の存在と世界を表象しているものの存在への知的好奇心を駆り立てている。
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