作品概要
《戦争の顔》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1940年から1940年で、ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館, ロッテルダムに所蔵されている。

本作は1940年末にカリフォルニアにて制作された。本作は戦争の醜さをシュールレアリスム的に表象しており、恐ろしい顔の瞳には果てしない死が湛えてある。本作が示す戦争や死への追憶は、当時真っただ中であった第2次世界大戦よりもむしろ、スペイン市民戦争へのものであった。
顔は骸骨か死体の顔のようであり、背景には砂漠の風景が広がっている。眼窩と口には類似する3つの小さな顔がそれぞれはまっている。蛇が群れを成して顔の周りをとりかこみ、右下の角にはダリ自身のハンドプリントがある。本作がもたらす恐怖は、画面を茶色の色調が支配しているおそろしい雰囲気によってさらに強まっている彼が使用した茶色みがかった色合いは、絶望とみじめさの感情を喚起する。絵画の深い意味と多様な要素に没入するとき、本作は悲しみと恐怖の感情を観る者に与える。
逸話的な面では、ダリは、人が彼の手に拠る事実の痕跡(画面右下)をキャンバス上に認めることができるのは作品のみであることにいら立ちを感じていたという。
手記においてダリは語っている。 「サルバドール・ダリという機能を、芸術性と非常に繊細なサルバドール・ダリたる脳を形づくる2つの最もエネルギッシュなモーター、それは第1にリビドー(言い換えるならば性的衝動)であり、第2に、死への苦悶である。私の人生のほんのわずかな時間さえ、最も繊細で気まぐれな我が幻想の最も不必要な部分ですら、私に付き従う崇高なカトリックや十二使徒、そしてローマ帝王の死なしで過ぎることはない。
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