作品概要
《形態学的エコー》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1934年から1936年で、ダリ美術館, フロリダに所蔵されている。

「形態学的エコー」と題のつく作品は2つある。1つ目は、1934年から36年にかけて64cm×54cmのサイズで制作された。超現実的なイメージを、ごく小さな事物を細密描写することで表現している。遠くには壁があるが、そこにはスカートをはいた女性の形に似たベルがついている。中央後景には奇妙に浸食されたような形状の岩が見える。
本作のイメージの中でもっとも注目すべき要素は、向かって右側にいる小さな人物、つまり、大きな輪っかを携えて走る女性である。彼女の腕は背景に溶け込んでいるが、影から、頭の周りで円を描いていることがわかる。地面に落ちた影は、腕が車輪のように見え、女性の頭部が車輪の軸のように見える。本作はレイノルズ・モーセ夫妻のコレクションによる寄託を受けて、フロリダにあるダリ美術館に収蔵されている。
本画題による2回目の制作は1936年に30.5cm×33cmの大きさで行われた。本作前景に描写されている机は「頭が雲でいっぱいの2人の人物」のうちの女性の人物のほうを思い起こさせる。向かって左側にまくり上げられたテーブルクロスからは、「頭が」同様に擬人化されたシルエットを見て取ることができる。上下左右が等間隔に3つずつ配置されている事物は、グラスに入った牛乳・女性・塔・パンの切れ端・座った看護婦・1房の葡萄・レーニン(横たわっている)・長い壁である。影は正午の太陽光を演出している。こちらも1作目と同様にダリ美術館が収蔵している。
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