作品概要
《器官と手》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1927年から1927年で、ダリ美術館, フロリダに所蔵されている。

シュールレアリズムの代表的な作品である本作は、レイノルズ・モーセ夫妻によって寄託され、現在はフロリダにあるダリ美術館に収蔵されている。9か月に及ぶ兵役から帰還した画家は、新たな主題で制作実験を始め、本作を制作した。ダリのキャリアにおける初期のこの時代は、フロイトの著作に深く影響されたアヴァンギャルド運動の真っただ中であり、フロイトの時代と呼ばれている。
中央にある幾何学的造形は円錐と三角形で構成され、亡霊のような裸の女性像と、青い背景の上に夢の情景のようにぼんやりと浮かんだトルソがこれを取り囲んでいる。表題にある「器官」は中央の幾何学的造形を指す。造形は人間の腕や足、目、頭に類似した部分を持っており、人体の造形に似て構成されている。
三角形の物体は、ダリの作品において睡眠の虚弱性の再現についてのライトモチーフであった杖のように見えるものに支えられている。頭部から突き出た腫れ上がった赤い手のついた幾何学的な造形を表象している。 頭部の上にある手は、ダリが当時の作品において一貫して問題にしていたオナニズムに関係する。幾何学的造形のまわりを取り囲む女性像は器官の精神思想の再現である。
これらのイメージは、画家の興奮した性的な思想過程を再現しており、作品テーマの多くを占めるものである。幾何学的な男性像の向かって右側には、後ろ足を備えたロバのイメージがある。ロバは腹部に群がるハエの大群によって侵食されており、生物の腐敗を暗示させる。幾何学的造形の向かって左側には古典的なポーズをとった女性がおり、中央の造形の幾何学的な単純さと対照的に配置されている。
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