作品概要
《預言者イザヤ》は、画家のロレンツォ・モナコによって制作された作品。制作年は1405年から1410年で、プライベート・コレクションに所蔵されている。

胸元まで描かれた白ひげを蓄えた預言者の姿は、青のマントと青のターバンを身に着けている。頭部は斜め左方向を向いているが、彼の視線は逆の右方向を向いている。右手はその指で右方向、おそらく左手に持っているであろう巻物のある方を指しているが、その手は丸形のこの作品の下方部の縁で切り取られていて確認することはできない。巻物にある文字は「注目せよ!聖母は子を身ごもり、それは男児であろう」とあり、そのことからこの男が預言者イザヤであることが特定できる。
イザヤは、エレミヤ、エゼキエル、ダニエルと並んで、旧約聖書にあるところの最も素晴らしい四人の預言者のひとりとして知られる。イザヤの処女懐胎の預言書にある絵と文章には、よく受胎告知のシーンで時折描かれ、それは多くの場合エゼキエルと「この門は閉められ、開けられることはないであろう」という文章とともに描かれていて、これもまたマリアの処女懐胎に関連している。
この、昨今まではアレクシス・フランソワ・アルトー・ド・モントルのカタログ(1843)にある、石版の複製の土台としてしか知られていないかったこのフェイゲン・イザヤは、Martin Eisenbergにより、ロレンツォ・モナコのSan Procoloにある祭壇画、《受胎告知》の一部だと特定された。彼によると今作品は、祭壇画の右側を構成する一部だとある。これが左右どちらを構成していたかに関わらず(預言者の姿勢の向き、目線の方向は左右どちらにあっても適切と見られている)、疑いようがないのは、今作品が右側に現存する、同じように円形に縁取られたエゼキエルを描いた作品と対となるものであろうということだ。
祭壇画の近代史の多くには、San Procoloの《受胎告知》の側面を構成するパネル画の上部にあるスパンドレル(三角小間)は、ウフィツィ美術館のサン・パンクラーツィオの祭壇画から排除された、ベルナルド・ダッディによる天使を描いた円形の作品により再構成された。
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