作品概要
《死せるキリストへの嘆き》は、画家のロレンツォ・モナコによって制作された作品。制作年は1400年から1405年で、プライベート・コレクションに所蔵されている。

長く、幅の狭いパネル画である今作品の左側にキリストの全身が右側に向かって横たわっており、地面との間にはローズ・バイオレット色の布がひかれている。彼の胴体部分は喪服を纏った聖母の膝の上にもたれかかっている。彼の頭の後方部に見えるのは、空の石棺と十字架の下部分である。八端十字架のくぎ穴の周辺からは血の跡がついているのも見られる。作品の左角に座っているのは、赤のローブと白のマントを纏ったアリマタヤのヨセフであり、自身の髭を引っ張りながらその手にあるイバラの冠を見せている。赤のマントを纏った福音記者ヨハネは作品の中央部に位置し、膝をつきキリストの左手を持ち自身の頬よせている。一方、アプリコット色のマントを纏ったマグダラのマリアは悲しげな様子でキリストの足元で体を折り曲げている。マグダラのマリアの後方で膝をついているのは、ところどころに鮮やかな黄色が走ったピンクのローブを纏ったニコデモであり、3本の釘を掲げている。その後ろにいるのは、人物は特定できないが、濃いブルーのローブを纏った、髭の生えた聖人である。聖母の後方、マグダラのマリアと福音記者ヨハネの上方に身を寄せ合っているのは5人の聖女は、それぞれ違った形でその嘆きと悲しみを表現している。
近年発見された今パネル画作品を初めて公開するにあたって、Gaudenz Freuler(1993年、ロンドン)は、今作品の独特な構成は、パルマのPinacoteca Giuseppe Stuardに所蔵されている、ニッコロ・ディ・トンマーゾ(1343〜76)の《哀歌》に似たところがあると指摘した。オルカーニャ、またはナルド・ディ・シオーネがおそら手本にしたであろうニッコロの作品は、独立した信仰絵画と呼ばれるカテゴリーに属していて、14世紀にとても流行したものである。多くの場合それらは文章によって補完され、見るものとキリストの苦しむを分かち合うことを目的としている。
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