作品概要
《ボードゥアン一世のラテン帝国皇帝戴冠》は、画家のアントニオ・ヴァッシラッキによって制作された作品。制作年は1578年から1582年で、ドゥカーレ宮殿に所蔵されている。

作品
フランドル伯ボードゥアン9世が、ヴェネツィア元首であるエンリコ・ダンドーロにラテン帝国の初代皇帝ボードゥアン1世として戴冠される場面である。ヴェネツィアのドゥカーレ宮殿「大評議会の間」を飾っている。
人物
ボードゥアン1世(1172年7月ー1205年頃)は、コンスタンチノープルに建国されたキリスト教国家であり十字軍国家の一つであるラテン帝国の初代皇帝である。フランドルとエノー伯として、彼は第4回十字軍で最も目覚ましいリーダーの一人であった。その出軍でコンスタンチノープルを奪取し、ビザンチン帝国の大部分を征服し、ラテン帝国を建国に至った。彼はブルガリア皇帝カロヤンとの戦いに負け、最期を牢屋で過ごした。
所蔵
ドゥカーレ宮殿はヴェネツィアン・ゴシック様式の宮殿で、ヴェネツィアのランドマークの一つである。この宮殿はヴェネツィア共和国の最高権力者ドージェ(元首)が住む場所であった。1340年に建てられ、何世紀にもに渡って拡張され、改築された。1577年12月には大火に見舞われ、再建と修復のために多くの芸術家が雇われたが、ヴァッシラッキもその一人である。1923年に美術館になり、ヴェネツィア市が運営している。
作者
アントニオ・ヴァッシラッキは、パオロ・ヴェロネーゼの下で見習いをした後、ドメニコ・ティントレットの工房に所属することとなった。ドメニコは数多くの依頼を受けていたヤコポの息子である。1578年から1582年の間、ヴァッシラッキはヴェニスのドゥカーレ宮殿の大評議会の間の装飾を請け負った。ドメニコとヴァッシラッキは商人学校の宿の壁と天井の装飾をし、サンタ・カテリーナ教会に大きなキャンバス画を6枚、サン・ジョルジオ・マッジョーレ教会に3枚の絵を納めた。
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