作品概要
《アドニスの死を嘆くビーナス》は、画家のアントニオ・ヴァッシラッキによって制作された作品。制作年は?年から?年で、?に所蔵されている。

古代ローマ詩人オウィディウスがローマ神話を描いた『変身物語』10巻を原典に描かれている。
ヴィーナスとアドニスを題材にして様々な芸術家が作品を制作しているが、特にヴェネツィアのルネッサンス画家ティッツィアーノ(1489–1576)は、彼自身や工房の弟子や他の画家と共に、幾度となく作品を製作した。30ほどのバージョンで描かれ、これがヴィーナスの裸像を一般的なものにしたのは間違いない。また後年、ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)が叙事詩『ヴィーナスとアドニス』を1593年に出版しており、その詩はティッツィアーノの作品と類似点があるとの指摘がある。
ストーリー
シェイクスピアの『ヴィーナスとアドニス』では以下のように語られる。
アドニスは驚くほど美しい若者として知られる。しかし彼は全く恋愛に興味がなく、狩りに行きたいとばかり思っている。ヴィーナスは愛の神。彼女はアドニスを見て、恋に落ちる。そして地上に降り、彼が狩りに 出発するところに居合わせる。彼女はアドニスに馬を降り、語り合いたいと望む。アドニスはどんな女性とも話す気は無く、それは女神であっても同じである。しかしヴィーナスは強要し、彼の隣に横たわり、愛について語る。彼女はキスを求めるが、アドニスはここを離れ、狩りに行きたいと思う。彼はなんとか逃れ、馬に乗る。
この瞬間、馬は他の馬に心を奪われる。その馬は最初は抵抗するものの、すぐに2頭で共に駆け出し、アドニスは狩りができない。ヴィーナスは彼に近寄り、愛について語り続ける。アドニスは少し耳を傾けるが、すぐに小馬鹿にしたように顔を背ける。ヴィーナスは傷つき、気を失う。アドニスはヴィーナスを殺したかと怖くなり、彼女の後ろにひざまづき、撫でてキスをする。ヴィーナスは目を覚まし、もう一度最後にキスをするように願う。アドニスは不本意ながらに折れる。
ヴィーナスはまた彼に会いたいと思い、アドニスは明日はイノシシを狩りに行くので会えないと言う。ヴィーナスに未来が見え、アドニスが狩りに行くとイノシシに殺されると警告する。彼女はアドニスにすがりつき、地面に倒す。彼は身をよじって逃れ、ヴィーナスに欲情と愛情について言って聞かせる。彼女は泣く。
翌日の朝、ヴィーナスはアドニスを探して森を彷徨う。彼女は犬と猟師の声を遠くに聞く。アドニスが死ぬであろう未来視を思い出し、ヴィーナスは恐れ、狩りに追いつくために急ぐ。怪我した猟犬に行きあう。そしてイノシシに殺されたアドニスを見つける。ヴィーナスは途方にくれる。この喪失が愛の女神に起こったことで、以降、愛は疑いと恐れと悲しみが混じることを宣言する。アドニスの体は冷たくなり、青ざめる。血が体の周りにある植物を染める。花が一輪、体の下から生える。白と紫でアドニスの体の血のようである。喪失感を抱いたヴィーナスは悲しみを隠すため、神が住む場所へと地上を離れる。
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