作品概要
《キリストの変容》は、画家のアントニオ・ヴァッシラッキによって制作された作品。制作年は?年から?年で、?に所蔵されている。

テーマについて
《キリストの変容》は、キリスト教芸術にとって大きな意味があるテーマであった。全ての東方教会において重要視され、いくつかの教会では最も人々の心を打つ場面として扱っている。
それはキリストと三人の使徒が祈るために山に行ったところ、キリストが眩い光を出して輝き始め、彼の近くに預言者モーゼとイリヤが現れた。キリストは彼らと語り、父なる神と思われる空からの声で「私の愛する子よ」とキリストが呼ばれたと伝えられる場面である。
そのことを祝う『主の顕栄祭』は東方正教会で少なくとも6世紀には始まっていた。正教会において12の主要な祭りの一つであり、例えばロシア正教会のほとんどで、これをテーマにした絵画がある。西方の教会では、この祭りは一般的ではなく、日付を決めて祝われることもあまりなかったが、ローマ教皇カリストゥス3世の命により、1456年ベオグラード包囲戦を記念して8月6日に祭りを行うこととなった。
一般的にはこの場面は、三種類の人物が画面の二つのパートに配置される。上部にキリストと預言者、下部に弟子である使徒。上は荘厳、静的で穏やか、下では弟子がひっくり返り、のたうちまわっており、かたや睡眠状態、かたや恐怖に陥っている様子である。東方での描写では、預言者たちはごつごつした岩肌の頂上にマウンテン・ゴートのように安定した様子で立っており、キリストはまた別の頂上に立っているか、彼ら二人の間に浮かんでいる。三人とも浮かんだり、一条の雲に立っている場合もある。西方でも同じような並びで描写される。しかし、中世になると西ヨーロッパのアーティストたちは、もっと自身の生活環境に近い現実味のあるものを探求したが、山の描写に苦労した。イタリアのどこかの谷にいるような設定で、キリストを使徒たちの数メートル高い場所に配置したものの、ナポリにあるベリーニによる作品やヴェニスのコッレール博物館の収蔵品はどちらも、不十分な出来上がりとなっている。
解決策の一つは、中世の絵にいくつか見られ、のちのルネッサンスでよく描かれたように、キリストと使徒が地上から離れ浮かんでいるようにすることであった。ペルジーノやその弟子のラファエロを含むアーティストたちが、その方法で描いた。ラファエロの遺作で、バチカン美術館にある《キリストの変容》(1520)は、西欧でこれを題材にした作品の中でも最も重要であることは間違いない。
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