作品概要
《聖母と洗礼者ヨハネ》は、画家のアンドレア・デル・ヴェロッキオによって制作された作品。制作年は1475年から1483年で、サン・ゼノ大聖堂に所蔵されている。
作品の概要
《聖母と洗礼者ヨハネ》は、1475-1483頃にイタリアルネサンス期の画家ヴェロッキオによって制作された絵画。途中まではヴェロッキオが制作にあたっていたが、老衰のため作業終わらせることが出来なかったため、ロレンツォ・ディ・クレディが代わりに完成させた。本作が出来上がった時には、ヴェロッキオはヴェネツィアで彼の生涯の幕を閉じる直前であった。
《聖母と洗礼者ヨハネ》は現在、イタリアのサン・ノゼ大聖堂に収蔵されている。本作品では、聖母マリアと、洗礼者ヨハネとフィエゾレの聖ドナート司教が描かれている。
作品の構成
ヴェロッキオの工房が制作に参加していることは明らかであり、ヴェロッキオ単独で仕上げた作品ではないが、画中の祭壇飾りの複雑な構成はヴェロッキオ本人の綿密な設計によるものであるといえる。
作品は少々質素で、飾り気の無い雰囲気も感じさせるが、一方でヴェロッキオは近代的な表現のモチーフとの合体に成功している。近代的な表現とは、画中に見られる当時の最新の建物や、静物的な要素、緻密に調整されたタイルの床、そして最後の段の段差から垂れ下がるように敷かれた東洋風の美しいカーペットだ。
聖ドナート司教
聖ドナート司教(829–876頃)とは、アイルランドの教師であり、詩人であり、フィエゾレで50年近くもの間司教を勤めていた。
彼はアイルランドのイニシュカルトラにある修道院で勉強を教えていたが、ある時聖地巡礼のためにイタリアを訪問した。その際フィエゾレを訪れ、彼が教会に入った瞬間に教会の鐘が鳴り出し、蝋燭には火が灯ったという。そんな奇跡を見た人々は神の思召しだと信じ、教会の司祭にドナートを迎えることに決めた。
聖ドナート司教は、政治や行政にも関心を持っており、また地域の危機の際には軍を指揮することもあった。また、晩年には自らの出資で、修道院を建設している。幅広い分野で地域に貢献した人物と言えよう。10月22日は、聖ドナート司教の祝祭日となっている。彼の名前を冠した地域や教会は、トスカーナ地方での彼の影響力と人気を証明している。
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