作品概要
《キリストの洗礼》は、画家のアンドレア・デル・ヴェロッキオによって制作された作品。制作年は1472年から1475年で、ウフィツィ美術館に所蔵されている。

作品の概要
《キリストの洗礼》は、ヴェロッキオが主体となり、彼が所属したイタリアルネサンスの工房の仲間と共に描いた共同作品である。当時の工房で作成された絵画は、共同制作されることが一般的であった。本作では、工房に所属した何人かの画家が手を入れたと考えられていて、そのうちの1人がヴェロッキオの弟子のレオナルド・ダ・ヴィンチだとされている。
本作では、マタイの福音書に記録されている洗礼者ヨハネと、マルコ、ルカによってキリストの洗礼が行われる場面が描かれている。
レオナルド・ダ・ヴィンチと作品との関わり
左側の天使は若き日のレオナルドによって描かれたという記録が残されている。また近頃は、背景の景色もレオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれたものだと主張する評論家もいる。
画家として知名度が大変高いレオナルドが手を加えているという事実から、本作自体の絵画的な評価ではなく、レオナルドが加筆したという部分にのみ注目が集まりがちである。そのため美術界全体としても、ヴェロッキオ個人の作品群の中でも、本作の重要性と価値は見過ごされることが多い。
16世紀には、ジョルジオヴァザーリの「画家の生涯」で、ヴェロッキオとレオナルドダヴィンチの両方の伝記において、本作品について議論されている。
所有について
《キリストの洗礼》は、サルヴィ教会の以来によって制作され、その後サンタ・ヴェルディアナのバロンブロサン姉妹会に移されたと言われている。1810年には、学術研究機関のコレクションに入れられ、1959年には現在も収蔵されているウフィツィ美術館に移された。
作品の技法
ヴェロッキオの絵画で使用されている技法は、当時のフィレンツェの流行の技法であり、木版にテンペラで描かれている。イタリアではパレードシールドなどの耐久性の高い物用に使用されていた絵の具を、オランダとフランドルの画家によって持ち込まれた技法によって、木版画等の絵画にも使用するようになった。
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