作品概要

サテュルスのいる風景》は、画家のドメニコ・カンパニョーラによって制作された作品。制作年は1535年から1540年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

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キャリアを積むにつれ、ドメニコ・カンパニョーラ はますます風景そのものを作品として描く事に専念し、風俗画と神話の世界の中間と言えるモチーフを描いて風景に膨らみを持たせた。
結果として、彼のスタイルは確固たるものになったが、一方で作品の制作は性急に行われるようになった。
彼は多くの風景を描き続けたが、その制作にあたって、実際に自然を観察して確かめることをやめ、ますます彼の様式に依存するようになっていった。彼の絵画はより型にはまったものになり、同じ形態の図を多くの風景に描きはじめた。

この絵画は彼のそういった作品の一つだ。強いリズミカルな質感と1535年から1540年のドメニコ・カンパニョーラの作品によく見られるモチーフがなければ、その機械的な特徴からこの作品はドメニコ自身の手によるものでなく、工房の制作したものだと考えられる可能性もあるだろう。
これらのモチーフの形態は、例えばフィレンツェのウフィッティ美術館所蔵の<<旅行者のいる風景>>と共通する点がある。平行している線で描かれた滑らかな木肌の幹、木立に密集する縮れた葉、根元の茂みと同型の木々、そして、似たような奥行きのある荒凉とした地形は、これもウフィッティ美術館所蔵の<<ジェロームと2月>>(1533年頃)にも見られる。典型的なドメニコ・カンパニョーラ後期の作品で、形式にとらわれない、ほとんど無頓着とも言える方法で、二人の人物を画面の右に、サテュルスを左に配して、描写している。これは、ティツィアーノのよく知られたイメージを反映しているが、空間やいきいきとした自然界の表現とは結びつかない。

<<サテュルスと低音四絃琴を持つ女性のいる風景>>(Lugtコレクション フランス パリ)、<<風景>>(大英博物館 イギリス ロンドン)、<<聖ジェローム>>(ヘルツォーク・アントン・ウルリッヒ美術館 ドイツ ブラウンシュバイク)、<<眠るキューピッドのいる風景>>(チャットワースハウス イギリス ダービーシャー)も、全て類似のテーマを取り扱っているが、明るく輝くイメージである。

似たような形式に拘らない彼の絵画へのアプローチは、(こちらは細やかな描線で描かれ、もっと広々とした平面的な形式だが)、<<聖ジェロームのいる風景>>(クリーブランド美術館)や
<<岩石海岸の風景>>(メトロポリタン美術館)の中にも明らかに見て取れる。

唯一この絵画を研究したサボ(Szabo)は、この作品はドメニコ自身のものであると考えている。また、ドメニコはサテュルスを描いているが、これは今日私たちが神話の登場人物として認識している以上のものを意味していないのかもしれないという疑問を投げかけている。

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基本情報・編集情報

  • 画家ドメニコ・カンパニョーラ
  • 作品名サテュルスのいる風景
  • 英語名Landscape with a Satyr
  • 分類絵画
  • 制作年1535年 - 1540年
  • 製作国不明
  • 所蔵メトロポリタン美術館 (アメリカ合衆国)
  • 種類不明
  • 高さ26.2cm
  • 横幅21.1cm
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