作品概要
《木々、岩、建物と山の風景》は、画家のドメニコ・カンパニョーラによって制作された作品。制作年は1517年で、The Metropolitan Museum of Artに所蔵されている。

1958年にSkippeが絵画を売った際のカタログによれば、この作品にはかつてドメニコ・カンパニョーラに帰属するという注釈があったという(現在は判読できない)。
Tietzesが1940年にドメニコ・カンパニョーラの作品であるとしたため、文献に彼の作品として記載されている。当時、本作品はRayner-wood氏のコレクションであった。
Tietzesはこの作品はより大きな作品の一部ではないかと言及しているが、画面の右側が切り取られているように見える。画家が空間の支点となる一対の木を切り取り、中景の建物や背景の山々から際立たせるということはありそうもない。完全な形は他のドメニコの風景と同じように横長の形であっただろう。それらの風景画には、地平線に対してジグザグに配された平地が連続し、地平線上には山や丘が配されているものがほとんどだ。
山頂は非常に簡略に描かれており、コピーアンドペーストされたように見えるが、同じような形態のものが1520年頃のドメニコのものとされる作品のなかにも見られる。<<風車と建物の光景>>(アルベルティーナ美術館 ウィーン)、 <<前に2本の大きな木のある風景>>そして<<山の中の木立と村>>(共にウフィッティ美術館 フィレンツェ)だ。
重く、特色のある線画、前景の広範囲のハッチング(複数の平行線を書き込むこと)はドメニコの初期の作品の特徴である。前傾のハッチングは遠景のコラージュ技法で構成されたような山々と対照して、前景を際立たせている。同じ画面の処理が見られる作品は、ウフィッティ美術館所蔵の二つの木が描かれた風景画、そして、この他の同じ<<町と城の風景>>と<<丘の上の村の風景>>である。また、チャッツワースハウス(ダービシャー イギリス)の<<建物と橋のある風景>>も挙げられる。
この作品のバラバラになる以前の完全な状態はチャットワースハウスの作品と似たものと考えられる。
本作品の元となる作品から切り取られた部分ではないかもしれないが、チャットワースハウスの作品と似た風景の右側部分がフィレンツェのNeermanコレクションに所蔵されている。また、別の2片が大英博物館に保管されている。
上記の作品は全て1518年から1520年のもので、ドメニコの若き日の作品だが、その当時すでに彼は風景画を一つのジャンルとして確立させ、新たなアプローチで、ティツィアーノが編み出した手法に近づいていた。
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