作品概要
《聖母戴冠》は、画家のロレンツォ・モナコによって制作された作品。制作年は1414?年から1414年で、ウフィツィ美術館に所蔵されている。

《聖母戴冠》は1414年にイタリアのフィレンツェにあるサンタ・マリア・デッリ・アンジェリ協会 カマルドリ修道院で修道士として生活をしていたロレンツォ・モナコ(別名:修道士ロレンゾ)によって描かれた作品である。
本作品は元々、カマルドリ修道院の祭壇の背後と上部に飾るために制作されたものであったが、現在はウフィツィ美術館に収蔵されている。18世紀に作品下部の碑文(ひぶん)が部分的に修復されている。
聖母マリアの戴冠式
本作は、イエス・キリストが聖母マリアに冠をかぶせる「戴冠式(たいかんしき)」の場面を描いた作品である。
ゴシック様式に見られる典型的な尖塔(せんとう)アーチの中央には玉座に座ったイエス・キリストと聖母マリアがおり、その左右には多くの聖者が、その下には3位(天使を数える際の単位)の天使が膝をついて儀式の様子を眺めている様子が描かれている。
イエス・キリストならびに聖母マリアと天使との間には、この時代の宇宙論に則って、神々しい輝きをした半円の球体の上に、星を散りばめた虹が描かれている。
修道士ロレンツォの精神性
この作品には、カマルドリ修道院の修道士ロレンツォとしての精神性が随所に反映されている。
イエス・キリストと聖母マリアの左右にいる聖者の中には、カマルドリ修道院の白いローブを着た(左)((イタリアの修道士で、540年頃ベネディクト会を創設した))聖ベネディクトゥスと、(右)((修道院を改革し、新しいカマルドリ修道会を立ち上げた))聖ロムアルド修道院長が描かれている。
また、作品下部の6つのタイルの内、尖塔アーチの中央のイエス・キリストの下にある「イエス・キリスト降誕」の場面と「東方3博士の礼拝」の場面が描かれたタイルを除く残り4つには、聖ベネディクトゥスの生涯を描いた4つのエピソードが描かれている。
修道士としての精神性を作品の中で細部に描き、神聖な儀式における聖者の思慮深い表情を細身の体つきや、服を描く際の洗練された線の間隔の取り方で見事に表現した彼は、フィレンツェにおける後期ゴシック様式をリードする代表的な画家として知られるようになっていた。
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