作品概要
《行列用十字架とマダグラのマリアと列福された隠修士》は、画家のロレンツォ・モナコによって制作された作品。制作年は1392年から1395年で、マーティンA.ライアーソン・コレクションに所蔵されている。

カマルドリ教会の修道士であり、14世紀末から15世紀初期におけるフィレンツェの画家の先駆者であった、ロレンツォ・モナコの初期の代表作と言えるのが今作である。繊細な色使いとキリストの処刑を単純化したこの作品は特に保存状態がよかった。
はりつけられたキリストの上部にある円形模様には、後光がさし、両手にシュロの葉を持ったキリストが描かれ、これは彼が死に打ち勝つことを象徴している。下方部には王冠をかぶったダビデ王が文字が刻まれた巻物を持っている。この時代に描かれた処刑のシーンは、十字架の上部にペリカンが現れ、その足元にはアダムの頭蓋骨が転がっているという様子がもっともよく描かれた。十字架の下方部で膝をつく人物たちがいるので、この作品の主題は懺悔だとわかる。右側には後光がさし、赤いローブを身に着けたマグダリアンが描かれている。左側には福者、または列福された者の後光により切り取られた男が描かれている。それは隠修士の破れた茶のクロークを身に着けた頭から出る光で照らされている。この男はおそらく、カルマドリ教会のある特定の隠修士を意味している。
この作品はその土台部分に穴が開けられており、柱の上に取り付けられ、ロレンツォ・モナコが暮らし、働いていたサンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会のカルマドリ会の修道士の団体により、行列用十字架として使用されていたと考えられている。
この、まだあまり周知されていないフィレンツェのゴシック絵画の傑作が、ロレンツォ・モナコの初期の作品だと認識されたのはほんの最近のことで、その帰属はまだ世界の学者たちの間ではまだ周知されているとはいえない。今作品の非常に豊富な色使いは、特に保存状態がとても美しい作品の上部、栄光に満ちたキリストの白のローブに、黄色と青の陰影がかかったバラ色が入り混じっているところで顕著に見ることができる。繊細に描かれた衣服の生地、そして光の効果が巧妙に描かれている点はロレンツォの作品郡において典型的な特徴といえる。
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