作品概要

キリスト磔刑と聖母と伝道者ヨハネ》は、画家のロレンツォ・モナコによって制作された作品。制作年は1406年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

詳細な画像を見る

15世紀初期のフィレンツェの代表的な画家であるロレンツォ・モナコは、本の挿絵、フレスコ画、祭壇画、宗教画のすべてにおいて才能にあふれていた。この作品は、おそらく《聖母子と聖ドムニーナ、洗礼者ヨハネ、聖ペトロ、聖大アントニオス》(エンポリのミラノ教区博物館所蔵)を描いた、複数の絵で構成される祭壇画の中央上部に位置するのではないかと考えられている。

ここで描かれているのは恐らく、教会周辺を行列する際に長い柱に取り付けられる、「行列用十字架」だと思われる。

キリストの受難を描いているが、画家は(本来なら)伝統的に物語に組み込まれるべき大量の人物、例えば戦士たちの群れ、喪に服した聖女、窃盗団などを排除している。 構成要素が減らされたことにより、聖母と聖ヨハネのみが残された。キリストのはりつけを見つめる者たちは地面に座っている様子を描かれているが、これはとてもドラマチックな雰囲気と印象的な構成となっている。キリストと比べて彼らが比較的大きいサイズで描かれているのは、仲保者としての彼らの役割を、見るものに対して強調するためかもしれない。

作品の大部分は十字架と、キリストの体で構成されている。彼の傷から流れた血は、十字架の柱部分をつたい、下方部にある岩山の細い小川まで広がっている。十字架の下にははりつけられたキリストを礼拝する2名の人物が描かれており、右側の赤く長いローブを纏っているのがマグダラのマリア、左側の肩側が破けている、粗野な茶色のチュニックをかけている隠修士である。彼らの下、十字架の下の岩山のクレバスから出ているのは、後光を帯びた王冠を被っているダビデの上半身である。

この作品はもともとサミュエル・ヘンリー・クレスのコレクションの一部である。作品完成当初より使用されていた額縁が未だ保持されていて、1408年からのものと言われている。そこには聖母マリアを称えるロレンツォの言葉が添えられている。

作品をもっと見る

基本情報・編集情報

  • 画家ロレンツォ・モナコ
  • 作品名キリスト磔刑と聖母と伝道者ヨハネ
  • 英語名The Crucified Christ between the Virgin and Saint John the Evangelist
  • 分類絵画
  • 制作年不明 - 1406年
  • 製作国イタリア
  • 所蔵メトロポリタン美術館 (アメリカ)
  • 種類テンペラ画
  • 高さ85.4cmcm
  • 横幅36.8cmcm
  • 投稿日
  • 編集者
  • キリスト磔刑と聖母と伝道者ヨハネの感想を書き込む

    こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。