作品概要

エイブラハム》は、画家のロレンツォ・モナコによって制作された作品。制作年は1408年から1410年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

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1932年に「中世後期の最も魅力的な絵画の1つ」とバーナード・ベレンソンが記したのは、1965年にメトロポリタン美術館が購入した、ロレンツォ・モナコによる4つのパネル画のひとつである。この美しい、即位した四人の預言者達の作品は、メトロポリタン美術館が今世紀初頭から取得してきた作品達の中でも、後期ゴシックのイタリアの絵画という分野において、最も重要なものの1つであるといえる。

《4名の預言者》(エイブラハム、ノア、モーゼ、デイビット)はそれぞれ切石のベンチ、または架空の大理石の高座の上にあるチェストに座っている。高座の色は、ノアとデイビッドの場合は前景にピンクと一筋の緑が交互になっているもので、エイブラハムとモーゼの場合は緑と一筋の紫色で彩られている。エイブラハムは影が紫色に描かれたピンクのチュニック、ハイライトがピンク色に描かれた紫色のマントを纏っていて、肩には白のショールがかけられている。彼は右手に銀の剣とたいまつを持ち、左手を彼の前でひざまずき、頭を横に向けている自身の息子であるアイザックの頭にのせている。彼はオレンジ色のチュニックとグレーのローブを纏っている。

ロレンツォ・モナコは、マサッチオ、マソリーノ、フラ・アンジェリコらが登場する前である、15世紀の第1四半期の間のフィレンツェにおいて、極めて優れた画家であり、また国際ゴシックと称される様式においては誰もが認める巨匠であった。これらの旧約聖書の4名の父祖を描いた作品は、ロレンツォの傑作のひとつとして位置づけられる。鮮やかな色彩と微細に描かれた細部から彼の細密画家としての仕事ぶりを思い起こさせる一方で、構造を忠実に表現しているのは、特にギベルティとナニ・ディ・バンコ等のフィレンツェの現代彫刻家からの影響が見られる。5つ目として、 いささか損傷が見られる、聖ピーターが描かれたパネル画(個人コレクション)はこの作品のシリーズのひとつに値すると考えられているが、どのように取り扱われていたのか、どのような目的の為の作品だったのかはまだ推測の段階である。(例えばメルカンツィア宮殿の法廷のような宗教的でない場所のために描かれた可能性も考えられている)

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基本情報・編集情報

  • 画家ロレンツォ・モナコ
  • 作品名エイブラハム
  • 英語名The Four Prophets
  • 分類絵画
  • 制作年1408年 - 1410年
  • 製作国イタリア
  • 所蔵メトロポリタン美術館 (アメリカ)
  • 種類テンペラ画
  • 高さ66cmcm
  • 横幅42.9cmcm
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