作品概要
《砂漠の聖ヒエロニムス》は、画家のデジデーリオ・ダ・セッティニャーノによって制作された作品。制作年は1461年から1461?年で、ナショナル・ギャラリー・オブ・アートに所蔵されている。

熟練した浅浮き彫り技法
大理石表面の微妙な操作によって異なる平面に人物が移動する複雑な空間を作り出し、絵画のような豊かなイメージが表現されている《砂漠の聖ヒエロニムス》は、セッティニャーノの浅彫り技法の熟練さを物語っている。
師ドナテロの影響
セッティニャーノは、ルネサンス期の優れた彫刻家のひとりであるドナテロの浅彫り技法から多くを学んだ。そのことは本作品で特に顕著に表れている。
縞模様を織り成す雲が浮かぶ空、崖の間からは高く尖ったヒノキの木が遠方に見える荒野の風景。背景には、皺だらけのわずかな布を身に着け、十字架の前に悔い改めの祈りで跪き、痩せ衰え禁欲的な表情を浮かべる聖ヒエロニムスの姿。
右側の特に細かな浅浮き彫りには、聖ヒエロニムスが背景から少し離れていることを示唆しており、恐れおののく少年が十字架の後ろの岩から出てくるライオンから逃がれる姿が描かれている。
伝説によると、聖ヒエロニムスはライオンの足からとげを取り除いたことによりライオンを飼いならしたとされる。したがってライオンはしばしば芸術の属性として表示されている。このライオンは、聖人に対する脅威ではなく、孤独な瞑想、祈り、そして苦行によって達成された自然との調和のとれた関係を示唆している。
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