作品概要
《聖母子》は、画家のロレンツォ・モナコによって制作された作品。制作年は1415年から1420年で、ブルックリン美術館に所蔵されている。

ロレンツォ・モナコの繊細で優美なスタイルは幅広い芸術形式で見ることができる。パネル画やフレスコ画に加えて、写本の挿絵の作成も行っていた。(ナショナル・ギャラリー・オブ・アートが2作品を所有している:《聖ペトロに鍵を差し出すキリスト》と《祈りを捧げる預言者》)この媒体は特に彼の優雅な表現力に非常にマッチしていた。母に体を預けるキリストの体の曲線や、彼女のヴェールを持ち上げる手、彼女の頭部と胴体のしなやかなライン等からそれらを確認することができる。
ロレンツォ・モナコの、この個人の信仰のために描かれた作品では、聖母マリアが地面に置かれたクッションの上に座っている様子を描いており、聖母の謙虚さが表現されている。 中世神学によると、謙虚さがすべての美徳の源であり、聖母としてふさわしい象徴としてマリアが描かれている。
聖母の青いマントの縁はリズミカルで文字を描くかのような線で曲線を描いている。ロレンツォの色彩のタッチはまた繊細であり、伝統的な色彩よりも彼が好んだパステル調の色を使用することを恐れなかった。聖母が幼児キリストを抱く絵画では赤いドレスを纏った姿がより一般的な傾向であったが、ロレンツォはマリアを金の刺繍を施した、上品で軽いドレスを身にまとわせている。この素晴らしい衣装は天界での彼女の戴冠を表現した作品の中で、より一般的である。
ロレンツォは《聖母子》という主題を繰り返し、多くの作品で使用している。それらの作品群は、大きな作品の一部である場合もあるが、どちらかというと単体で独立した作品が多く、基本的にそれぞれテーマに変化をもたせたものになっている。どのような違いを持たせているかというと、多くの場合はその相対的サイズであったり、聖母マリア、または幼児キリストの特定のポーズであったりする。ブルックリン美術館が所蔵している《聖母子》はひとつのデザインを基本とした描かれた現存する3つの作品のシリーズの中でも最後に描かれたものである。
この作品は、最高の権力を持ったルネッサンスのフィレンツェの王朝である、メディチ家とのつながりが明らかに見られる。この、1466年まで使用されていた、球体の三角配列により認識できる紋章は、額縁に描かれている。
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