作品概要
《聖痕を受ける聖フランチェスコ》は、画家のピエトロ・ロレンツェッティによって制作された作品。制作年は?で、アッシジ聖フランチェスコ聖堂に所蔵されている。

《聖痕を受ける聖フランチェスコ》はピエトロ・ロレンツェッティ(1280-1348)によって1320年頃制作されたフレスコ画であり、イタリアのアッシジ聖フランチェスコ聖堂の下部聖堂の壁画に描かれた宗教画の連作のひとつである。
絵画の主題
主題である《聖痕を受ける聖フランチェスコ》は、アッシジのフランチェスコが聖なる者となる瞬間の場面である。アッシジの裕福な商家出身のフランチェスコは、道楽的な暮らしを送っていたが、あるとき、キリストの幻が現れ、フランチェスコは世俗を離てれ、信仰の世界に入っていく。巡礼中、清貧・純潔・服従の象徴である三人の乙女に出会ったことで、フランチェスコは、この三つの象徴を基とし、フランチェスコ会を創設した。晩年、フランチェスコの前に、六翼熾天使セラフィムが現れ、聖フランチェスコは、キリストが十字架刑の際に全身に受けた傷と同一の場所に聖痕が印された。
絵画の物語と構図
《聖痕を受ける聖フランチェスコ》は、下堂の西側翼郎の南側から柱廊に続く階段に描かれている。この作品は、聖歌隊席に向かう修道士が、聖フランチェスコが、キリストの死に対して抱いていた強い情感やキリストに対する高い精神性を思い起こすよう描かれた。
この作品では、背景にイタリアのトスカーナ地方に位置するヴェルナ山と、ヴェルナ修道院が描かれている。ここにも、ピエトロ特有の、前衛的な幾何学的遠近法が用いられている。聖書を手にする愛弟子レオーネの横で、金輪を纏った聖フランチェスコが、40日間の断食をし、祈りを捧げていたところに、六翼の熾天使セラフィムが現れ、聖痕を授けている。
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