死を考える

《死を考える》は、メキシコの女性画家フリーダ・カーロによって1943年に制作された作品である。

多くの自画像や肖像画を制作した画家

フリーダ・カーロは、メキシコの偉大な芸術家の一人とみなされている。18歳のとき、乗っていたバスと路面電車の衝突事故で重傷を負い、痛みと戦う入院生活において絵を描き始める。1929年に政治活動に参加するようになり、共産党員であった画家のディエゴ・リベラと同年結婚した。妥協のない鮮やかな色を用い、自己のアイデンティティ、人体、死といったテーマに取り組んだ多くの自画像や肖像画で知られている。フリーダは否定したが、彼女はしばしばシュルレアリストとして認識されていた。フリーダは、精神的な苦痛をよりよく理解するために、肉体的な苦痛の視覚的象徴性を用いた。

晩年期の自画像

フリーダは晩年期、多数の病気と合併症で苦しんだ。この自画像は1943年に描かれたものであるが、この頃フリーダの健康状態は悪化しており、ほとんどの時間を寝たきりで過ごさねばならなかった。

健康状態がよくなかったため、当時のフリーダにとって死は意識的に避けられないことであった。この絵では、死は彼女の額に現れる頭蓋骨により表現されている。古代メキシコの文化では、死は復活と命を意味する。この自画像では、彼女は生の象徴である贅沢な緑の植物を背景にして自分自身を描いている。フリーダは、死を生の他の形態へ通じる道であると理解しているようである。