作品概要
《自画像》は、画家のカジミール・マレーヴィチによって制作された作品。制作年は1933年から1933年で、ロシア美術館に所蔵されている。

《自画像》は、ロシアの男性画家カジミール・マレーヴィチ・によって1933年に制作された作品である。ロシアのロシア美術館に所蔵されている。
マレーヴィチの肖像画三作品
マレーヴィチの作品は何百点あるにも関わらず、自画像の作品はあまり見られない。彼のほとんどの初期の作品は、実験的な彼独自のスタイルで描いているものが多い。最初の自画像はフレスコ技法で描かれた宗教画シリーズの一部として1907年に制作されている。1910年には、さまざまな色彩やフォルムを実験的に使用し、画家から芸術家へと転身し始めた時期であり、新しい技法で自画像を制作した。赤いラインで女性のからだを描き、性別を感じさせない表現をしており、絵画の中のマレーヴィチは奇妙な雰囲気を宿している。
数年後、《黒の正方形》が描かれた頃、タイトルがなければ自画像だとわからないくらい抽象的な自画像を作成した。そして晩年は突然シュプレマティスムから新古典主義的な作品を作り始める。特に1933年はマレーヴィチにとって厳しい年出会った。内側からは死に至る病に侵され、外側からはソビエト連邦下における社会主義リアリズムの波によって苦しい時を過ごした。しかし絵画だけが心の支えであった。以前とはまったく違う作風のように見えるがシュプレマティスムをちらつかせた自画像に仕上げている。余計な物を排除したシュプレマティスムの背景に、ドージェを身にまとったマレーヴィチにフォーカスが当たるように描かれている。彼自身を表現すると共にルネッサンスの巨匠のイメージを混ぜることで、フレスコ画の影響をキャンバス上に秘かに描いている。
抑制された状況下に隠されたメッセージ
多くの研究者の見解によると、1933年に描かれたこの自画像にはたくさんの謎とメッセージが隠されていると言われている。特に明白に見られる謎は、通常サインが記される右下の角に小さな黒い正方形が描かれている事だ。この奇妙なシンボルについてたくさんの論争が繰り返されてきたが、ついに批評家の間でひとつの意見にまとまった。それは、絵画の中のマレーヴィチが見えない《黒い正方形》を手に持ち、角にそのシンボルを描く事で、いつか彼の思いを次の時代に伝えたかったのではないかと言われている。
この自画像は社会主義に屈せず、自由を宣言したマレーヴィチによるマニフェスト作品である。
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