作品概要
《傷ついた鹿》は、画家のフリーダ・カーロによって制作された作品。制作年は1946年から1946年で、個人に所蔵されている。

《傷ついた鹿》は、メキシコの女性画家フリーダ・カーロによって1946年に制作された作品である。
傷と両性具有
《傷ついた鹿》は、既に《折れた背骨》で描かれた「傷」を意味するスペイン語「chingada(チンガダ)」の概念と、聖セバスティアヌスのモチーフの両方を拡張した作品であるといえる。鹿と女性の混合物として描かれたカーロは、負傷し、出血し、捕食され、森の中で捕らえられる。彼女はまだ生きており、鑑賞者を直接見ているが、刺さった矢はゆっくりと命を蝕む。画家は社会的な存在と、自然の中でもっと自由に存在したいという願望との間で感じる緊張を強調するかのように、真珠のイヤリングを着けている。
カーロは自分自身を繊細で優しい子鹿としては描写しない。代わりに大きな角と垂れた睾丸を持つ雄鹿として描いている。これは、若い頃の家族写真における彼女のスーツを着た姿のように、カーロが男女を組み合わせた両性具有を作り出すことに興味があったことを示唆するだけでなく、彼女が自分自身を、多くは男性だった過去の他の偉大な画家と同調させようとしたことを示している。
セバスティアヌスとの同一視
雄鹿の足の下の枝は、イエスがエルサレムに着いたときに見物人がその足の下に置いたヤシの枝を彷彿とさせる。カーロはこの時点から死までの間、矢で射られても死ななかったという聖セバスティアヌスの宗教的人物像と自身を同一視し続けた。1953年に、彼女は11本の矢が自身の肌を突き刺している作品を完成させた。
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