作品概要
《ヘンリー・フォード病院》は、画家のフリーダ・カーロによって制作された作品。制作年は1932年から1932年で、ドローレス・オルメド・パティニョ美術館に所蔵されている。

奉納画の形式
1930年代初頭のカーロの絵画の多くは、特にサイズ、形式、設定や空間の配置において、彼女とリベラが所有していた数世紀に渡る奉納画のコレクションに関連している。奉納画は、救いへの感謝や祈願のために、教会や聖堂に奉納する美術品のことである。一般的に小さな金属パネルに描かれており、奉納の対象である聖母や聖人のエピソードを描いている。
奉納画の形式を使用しているこの作品はしかし、聖人の奇跡を描いたものではなく、自分自身を中心に置くことによってそれを覆す良い例となっている。カーロは聖人の代わりに自分自身の物語を描いた。まるで彼女が聖なる存在となり、神への感謝ではなく反抗の中で作られたこの作品は、なぜ神が彼女に苦痛をもたらしたのかという疑問を提示している。
つながるということ
この作品では、流産により出血したカーロがベッドの上に横たわっている。露出した裸体から6本の静脈のようなリボンが外側に流れており、それぞれに様々なシンボルが付いている。これら6つのうちの1つは胎児であり、リボンが臍帯の隠喩になり得ることを示唆している。
フリーダを取り巻く他の5つのオブジェクトは、彼女が記憶しているもの、または病院で見たものである。たとえばカタツムリは、流産が終わるまでにかかった時間について言及しているが、花はディエゴから彼女に与えられた実際の物である。
彼女は、自身を取り巻くすべてのものとつながる必要があることを示している。たとえ彼女が自身の子供を持つことができなくても、つながりに手を差し伸べることを通して画家自身が「母」になろうとする姿が描かれている。
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