作品概要
《ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世》は、画家のジュゼッペ・アルチンボルドによって制作された作品。制作年は1590年から1591年で、スコークロステル城に所蔵されている。

《ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世》は、ジュゼッペ・アルチンボルドによって1590年から1591年にかけて制作された油彩画である。スウェーデンのスコークロステル城に所蔵されている。
成長を促す果物の神
《ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世》は、ローマ神話の季節、成長、庭園、果樹の神であるウェルトゥムヌスを画題として、それに扮した神聖ローマ皇帝ルドルフ2世を描いた肖像画である。アルチンボルドがミラノに戻った後に描かれた本作は、リンゴ、ナシ、ブドウ、チェリー、プラム、ザクロ、イチジク、エンドウ豆、トウモロコシ、玉ねぎ、アーティチョーク、オリーブなどの四季折々の果物と野菜から構成されている。
統治者としてのルドルフ2世のイメージ
アルチンボルドの肖像画の典型である自然物を使った人間の構成は、ここでは皇帝の統治と自然の支配の間にある調和を表現したものとなっている。豊富な農産物は、ルドルフ2世の統治下におけるいわゆる黄金時代――自然、文化、富の繁栄――の再来を象徴している。皇帝が11年間アルチンボルドの雇用者でありパトロンであったことを考えると驚くことではないが、肖像画は皇帝を賞賛したものとなっている。ルドルフ2世はしかし、民衆の支持を集めた支配者ではなかった。それゆえ、本作における信心深さ、力と繁栄の含意は、彼のパブリック・イメージを改善するのに役立っただろう。本作はアルチンボルドが描いた最後の作品の1つであり、《フローラ》と共に、彼の最も完成した作品と見なされている。
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