作品概要
《フローラ》は、画家のジュゼッペ・アルチンボルドによって制作された作品。制作年は1589年から1589年で、個人に所蔵されている。

アプローチの変化
この肖像画の主題は、ローマ神話の植物、花、果物、春の女神であるフローラである。アルチンボルドに典型的な方法として、彼女は花、芽、花びら、茎と葉で構成されている。しかし、この肖像画とそれに続いて制作された《ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世》は、繊細な技術のおかげで、以前の作品よりも際立って優れていると言える。
アルチンボルドの肖像画はグロテスクであるかもしれないが、本作《フローラ》は、肖像画の美の伝統的な理解に、より固執したものとなっている。細部で全体のイメージを構成するための小さな花の使用は、主題に説得力のある立体感を与えており、画家が彼女の特徴を繊細に描写することを可能にした。このアプローチは、以前のより表面的なコラージュで構成された肖像画とは対照的である。本作はまた、画家が青年期にデザインをしていた繊細なステンドグラスの美学を部分的に想起させる。
植物の忠実な表現
本作の翌年、アルチンボルドは別の《フローラ》を連画として描いた。主題は同じだが、筆致はより柔らかく、植物を描写することにおいて画家が本作で示している正確さから遠ざかるような、ロマンチックな霞がかかったような仕上がりとなっている。
花の様々な種への彼の注意は、園芸家のようである。批評家は、彼の作品は自然物の忠実な表現によって特徴付けられるバロック静物画の前兆であると示唆した。1592年に「パラティン伯選帝侯」の爵位を授けられた後、アルチンボルドは皇帝ルドルフ2世にこの作品を贈った。本作は、植物学と園芸に対する皇帝の強い関心に訴えたことだろう。
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