作品概要
《権利は圧倒的だ》は、画家のジョージ・グロスによって制作された作品。制作年は1921年から1922年で、ワシントン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

《権利は圧倒的だ》はドイツの画家ジョージ・グロスによって1921-1922年に制作されたリトグラフである。ワシントン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。
ベルリン・ダダ
ダダイズムは、1910年代半ばに起こった芸術思想・芸術運動のことである。第一次世界大戦に対する抵抗やそれによってもたらされた虚無を根底に持っており、既成の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊といった思想を大きな特徴とする。ダダイズムに属する芸術家たちをダダイストとよぶ。
ダダイズムは第一次世界大戦中にチューリッヒで始まり、国際的な現象となる。機械や科学技術、キュビズムの影響を強く受けているのが特徴であった。
ダダ派の芸術家はパリ、ベルリン、ケルン及びニューヨークでも同様の運動を展開。ドイツではリヒャルト・ヒュルゼンベックがベルリン・ダダを旗揚げし、ラウル・グロスマン、ジョン・ハートフィールド、ジョージ・グロス、ジャン・アルプ及びハンナ・ヘッヒらが集った。グロスは特に、ワイマール共和国時代はベルリン・ダダと新即物主義派の中心的メンバーの一人であった。
第一次世界大戦の勃発とドイツ軍への失望
1914年6月28日、ユーゴスラヴィア民族主義者が、サラエヴォへの視察に訪れていたオーストリア=ハンガリーの帝位継承者フランツ・フェルディナント大公を暗殺した事件が引き金となり、第一次世界大戦が勃発する。第一次世界大戦は、7千万以上の軍人(うちヨーロッパ人は6千万)が動員され、史上最大の戦争の1つとなった。
第一次世界大戦の勃発後、グロスは1914年ドイツ軍に入る。第一次世界大戦を「全ての戦争を終わらせるための戦争」と賛美して志願兵となるも、重傷を負って入院生活を送り、戦争の実態に幻滅しつつ、1915年に除隊される。1917年1月に徴兵されたが、同年5月には兵役不適格とされて再び除隊となった。 戦争の最前線を経験したグロスは、ドイツの民族主義や愛国主義を深く嫌悪するようになる。医学的理由のため軍から除隊されたグロスは、彼の絶望、嫌悪、及び、幻滅を表す残忍で皮肉な絵画を描き始める。
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