作品概要
《古びた地平線》は、画家のイヴ・タンギーによって制作された作品。制作年は1928年から1928年で、オーストラリア国立美術館に所蔵されている。

《古びた地平線》はフランスの画家イヴ・タンギーによって1928年に制作された油彩画である。オーストラリア国立美術館に所蔵されている。
幻想的な作風
タンギー独自の幻想的な作風が確立した時期の作品である。タンギーは20歳でフランス軍に徴兵されるが、この時に知り合った詩人のジャック・プレヴェールの紹介で、1924年にアンドレ・ブルトン率いるシュルレアリスム運動の画家達と出会うことになる。27年にパリで初の個展を開催した。この個展を見てブルトンは、タンギーを「もっとも純粋なシュルレアリスト」であると評し、以降シュルレアリスムの画家として名声を博した。
不定形の物体群の出現
タンギーの初期の作品には、具象的モチーフが比較的多く見られる。1925年末にシュルレアリスムのグループに加わったタンギーは、それまで描いていた都市風俗を離れ、次第に超現実的な風景を描くようになった。既に翌年1926年には、後にタンギーのライトモチーフとなる不定形の物体群をいくつかの作品で描いている。1927年になるとこれらの物体群がイメージの大部分を支配するようになり、1928年以降、タンギーは不定形の物体群以外のモチーフをほとんど描かなくなる。
本作《古びた地平線》でも描かれている不定形の物体群によってタンギーのイメージの基本構造が確立される。以後タンギーは、茫漠として空間に蠢く不定形の物体群、巨大生物の骨や石のような物体群(biomorph「生物的形態」と呼ばれることがある)をひたすら描き続けるようになる。
]1920年代の間は、不定形物体群はアメーバのような形態を示し、数もまばらで空中に浮遊しているものが多かった。その後は次第に確固としたフォルムを備えはじめ、画面に比して巨大化しつつ、より複雑な形態を取り、硬質な無機物あるいは機械を思わせるものとなる。後年、さらに増殖と細分化の兆しが見られはじめ、巨大化、複雑化、増殖化、細分化は極限まで進むことになる。
多くの場合、夢の状態を喚起するような不可解なタイトルは、より深い意味あるいは作品における真実を探求させるようにシュルレアリスト達によって用いられていた。
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