作品概要
《メキシコに於ける マドレーヌ》は、画家の藤田嗣治によって制作された作品。制作年は1934年から1934年で、京都国立近代美術館に所蔵されている。

《メキシコに於けるマドレーヌ》は、エコール・ド・パリの代表的な画家であり、日本画の技法を油彩画に取り入れながら、独自の乳白色の肌と呼ばれた裸婦像を描いた藤田嗣治(1886-1968)が1934年に制作した油彩画である。
モデルはフランス人妻のマドレーヌ
藤田は2年に渡って中南米を旅行し、新しい方向性を探るための多くの刺激を受けた。日本とヨーロッパ以外の文化に本格的に接し、メキシコでは画家であるリベラやオロスコらの作品を目にした。
本作はメキシコでの素描や写真をもとに日本に帰国後制作された作品だ。モデルとなった女性は、パリから2つの大洋を横断し、アメリカ大陸を縦断する旅をともにした、フランス人の妻マドレーヌだ。
透き通るような白い肌に白いドレスをきたマドレーヌに、青い目と、帽子や頬や唇に添えられた赤が印象的だ。パリ時代の藤田を特徴づけた白を基調とする彩色と線描は見られない。ドレスの部分はあえて即興的な、粗いタッチで描いたのか、カンバスの下地が見えるほどだ。それとは対照的に現地のサボテンや赤い地面、特有の建築様式、そして空は鮮やかというよりむしろ濃厚に塗りこめられている。
戸外の肖像画
藤田自身は、この作品について、「欧羅巴と中央アメリカとの対照」をねらい、「何れ又私の家内を日本の風景の前に置いて描いてみたら又珍しい画が出来るだろう」と記している。
室内の親密な雰囲気のうちにモデルを描くことの多い藤田作品の中で、戸外に肖像風の人物を配したこの構図はきわめて珍しい一枚といえる。
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