作品概要
《鐘とへそ》は、画家のジャン・アルプによって制作された作品。制作年は1931年から1931年で、ニューヨーク近代美術館に所蔵されている。

ジャン・アルプはあらゆるものを芸術作品へと変えることができた。とりわけバイオモルフィック(生命形態的)彫刻でその名を知られ、20世紀前半における最も多才で創造力にあふれた人物の一人であると言えるだろう。彼は石膏、石材、青銅などで彫刻を制作したほか、絵画、デッサン、コラージュ、さらには詩といった分野でも作品を発表した。アルプの造形に対する姿勢は驚くほど一貫しており、彼の作りだす曲線は、完全に抽象的である一方で植物や人体のパーツ、その他の自然界のモチーフを思い起こさせる。
特徴的なモチーフ
本作のタイトルは、2つの球体がへそを、大きな上向きの物体が鐘を、それぞれ表していることを示唆している。へそはアルプの用いる特徴的なモチーフの一つであり、彼にとって誕生、成長、そして出産といったものに関連づけられていた。アルプの作品においてへそは様々なものに類似して見える。それはときに卵や種、そして子宮、もしくは地球そのものであるかのようだ。また本作にあるような一対のへそは乳房のようにも見える。アルプは「それは1番最初に存在するもの、始まり」と説明する。
アルプが残した言葉
彼は人間の生活を自然界のサイクルと関連づけただけでなく、芸術的創造という行為とも関連づけたのである。本作を制作した年にアルプはこう言い残している。「芸術とは植物が実を成すように、または胎児が母親の子宮で育つように、人の中で育つ果実である」
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