作品概要
《ラ・タウロマキア(闘牛)》は、画家のフランシスコ・デ・ゴヤによって制作された作品。制作年は1815年から1816年で、国立西洋美術館ほかに所蔵されている。

『ラ・タウロマキア(闘牛)』は、スペインの画家で版画家フランシスコ・デ・ゴヤが制作した33枚組の版画集で、1816年に出版された。本作品は、闘牛の場面を描いたものである。
ゴヤは、版画集「戦争の惨禍」の制作を中断し、1815?1816年、69歳のときに本作品を制作した。「戦争の惨禍」や先に制作した「ロス・カプリチョス(気まぐれ)」は、反聖職者の立場を含みながら、戦争や迷信、当時のスペイン社会に広く関わるテーマを視覚的に批判する役目を担った。繊細なテーマのため、ゴヤが生きている間にこの作品群を目にする人はほとんどいなかった。
闘牛というテーマは政治的に微妙なものではなかったので、1816年末、本作品は320の版で――1枚ずつ、もしくはセットで販売するため――無事に出版された。だが、決定的、あるいは商業的な成功には至らなかった。ゴヤは、いつも闘牛に夢中で、数多くの作品のテーマになっていることから、闘牛というモチーフに駆り立てられていたのは一目瞭然である。1790?1795年頃の自画像では、闘牛士の服装をしている自身を描いた。1793年、王立サン・フェルナンド美術アカデミーのために、板金を基材として8枚の連作を仕上げた。それは、誕生する瞬間から闘牛場に入場するまでという、牡牛の生涯の場面を描いた作品であった。1825年、連作「ボルドーの闘牛」を制作し、ドラクロアがその作品を1部購入した。ゴヤの牡牛に対する愛情は、「牡牛のフランシスコ」のように署名した手紙があるという事実から察知できる。
本作品では、主にエッチングやアクアチントの技法が用いられた。ゴヤは、闘技場で起こる激しい場面や、その最中の闘牛士達の動きに焦点を合わせている。各場面は、スタンドにいる観客から見えるものとして表現されてはいない。だが、より直接的な手法を用いており、大衆娯楽の手段として表現されている「ボルドーの闘牛」とは対照的な表現を見せた作品である。
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