作品概要
《ウジェーヌ・ボックの肖像》は、画家のフィンセント・ファン・ゴッホによって制作された作品。制作年は1888年から1888年で、オルセー美術館に所蔵されている。

ウジェーヌ・ボックはベルギー出身の画家・詩人である。ゴッホは南仏アルル滞在時代に弟のテオドルスを通じてボックと知り合い、本作品は1888年8月?9月に描かれた作品として知られている。
星空の背景
作品の背景にはまるで星空を思わせるような深い青色に黄色と白い点が散りばめられており、ボックは神秘的な姿で描かれている。背景の青色と黄色と白い星と共鳴して光を放っているようにも見える。
この星空は、《夜のカフェテラス》以降、ゴッホ作品にしばしば登場するモチーフだが、肖像画の背景に使われたことは珍しい。
ボックの視線は観る者へ向けられているが、どこか別の物を見ているようでもある。またボックが着用している衣服は当時ではかなり近代的なものであり、黄色みがかったスーツに赤と緑のネクタイで、背景の青色と見事に対比している。ここでもゴッホが得意とする補色関係が使われているのだ。更にボックの頭部は黄色く縁取りされており、それが作品に存在感と輝きを与えている。
ゴッホによる評
ゴッホはボックと本作品について次のような言葉を残している。「彼はダンテを思わせるような風貌の持ち主で、オラニエ公ウィレム1世時代のフランドルの紳士貴族を連想させる。彼が親切な男でも誰も驚かないだろう。そして彼は無限の空間の中に輝く蒼白い星の神秘的な光に包まれるのだ。」
本作品で注目すべき点は、肖像画としての類稀な象徴性にあるのだ。
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