作品概要
《ヨアン・デイマン博士の解剖学講義》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1656年から1656年で、アムステルダム歴史博物館に所蔵されている。

複数の人物の様子を1枚の絵に描く、いわゆる「集団肖像画」の代表作。
有名な《テュルプ博士の解剖学講義》(1632年、マウリッツハイス美術館収蔵)と同様に、当時の社交イベントであった、処刑された犯罪者の遺体を使った公開解剖の様子を描いたもので、ここでは、ヨアン・デイマン博士(1619-1666)による脳の解剖の様子が取り上げられている。
アムステルダム外科医師会では、年に1体、処刑された犯罪者の遺体を使った公開解剖が認められており、解剖劇場という専用の講義室内で行われ、学生や医師の他、一般市民が入場料を払って見学していた。
消失とラフスケッチ
絵のほとんどの部分は1723年の火災で焼失されており、その後残った部分のみで展示されているが、全体が描かれたラフスケッチが現存しているため、全容を知ることができる。
描かれているのは「ブラック・ジャック」と呼ばれた犯罪者で、仕立屋であったオランダ人ヨーリス・フォンテイン(1633/34-1656)の処刑後の死体の脳を解剖しており、左側に描かれている助手の外科医が手にしているのは、犯人の頭蓋骨である。
死体は両足の裏を観者の方に向ける極端な前面短縮法で描かれており、観者は解剖台の正面にいるような感覚になる。
これは、ルネサンス期の画家アンドレア・マンテーニャ(1431-1506)の『死せるキリスト』(1490年代)の構図にとてもよく似ているが、レンブラントは印刷物でこの作品をよく見ていたとされている。光と影を表現しながら、細かなところまで描写された作品である。
ニコラス•テュルプ博士のとは違い全面短縮法を使って特殊な印象がある。
集団肖像画ということだから、欲を言えばラフスケッチで燃えてしまった背景の人たちも見たかった。
2019年8月23日 10:32 pm, ID 14184脳の事細かい緻密さはすごいと感じた。