作品概要
《緑のブラウス》は、画家のピエール・ボナールによって制作された作品。制作年は1919年から1919年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

親密派
フランスのポスト印象派画家の一人であるピエール・ボナールは、ポール・セリュジエ、エドゥアール・ヴュイヤールらの所属したナビ派の創設メンバーとして、比較的早く成功を収めた。ボナールは、室内を主題の中心としたポスト印象派の「親密派」の牽引者であった。
本作《緑のブラウス》は、ボナールの親密派時代の作品であり、彼の色、装飾、光に対する感覚の優れた例である。左の窓から見えるヤシの木は、これが南フランスの風景であることを示しており、木の向こうには地中海の深い青色が描かれている。南の空は部屋の内部を照らし、テーブルの上は赤みを帯びた色合いで輝いている。
描写
この絵は、画家がよく見ていたに違いない場面を捉えている。モデルも務めた画家の妻マルト(マリア・ブールサン)は、緑のブラウスを着て、食器とフルーツボウルが置かれたテーブルの前に座っている。召使あるいはメイドの横顔が、左側に描かれている。当時マルトは50代であったが、ボナールの作品において常にそうであったように、彼女は永遠に年を取らない女性のように描かれている。ボナールは、友人が離れる原因ともなった彼女の引きこもりがちで神経質な性質にもかかわらず、彼女を愛し、半世紀の間、繰り返し彼女を描いた。
ボナールは記憶から描いたが、彼はまた、主題を思い出すためにメモを用いた。この作品は、覚えている瞬間を再構築したものである。この場面は、初めから絵のように認識されていただろう。
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