作品概要
《糸杉のある麦畑》は、画家のフィンセント・ファン・ゴッホによって制作された作品。制作年は1889年から1889年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

精神病院での制作
《糸杉のある麦畑》は、1889年にヴィンセント・ヴァン・ゴッホが麦畑シリーズとして描いた油彩画の一点で、よく似た作品が三点ある。時に「糸杉のあるトウモロコシ畑」とも呼ばれている。いずれの作品もフランスのアルルに近いサン・レミにあるサン・ポール・ド・モーゾール精神病院で制作された。
1889年5月から1890年5月までの1年間ゴッホは自発的にこの病院に入院していた。病院の窓からアルピーユ山脈の方角を臨んだ景色からインスピレーションを得て描かれたものである。
糸杉への魅了
本作品は、収穫時期の金色に輝く麦畑、円錐状をしたプロバンスの糸杉、明るい青々としたオリーブの木、山々、紺碧の空に渦巻く白い雲を描写している。メトロポリタン美術館に収蔵されている最初の作品は、《星月夜》を完成させてすぐ、1889年6月終わりあるいは7月初めに描かれたようだ。
ゴッホがまさに糸杉に魅了されていた時である。また、病院の外に出ることができた時に戸外で制作されたように思われる。ゴッホはこの風景画を自分の夏の絵の最高作と評価している。
1889年7月2日に弟のテオに宛てて書いた手紙で本作品について「糸杉と少しばかりの小麦、ケシの花、青い空があり、多彩なスコットランドの格子縞のようで、アドルフ・モンティセリの絵のように絵画を厚塗りした。」と説明している。
ゴッホは、1889年7月終わりから8月初めにかけて重い精神障害を患っていたが、8月終わりから9月初めには絵を描くことを再開したようだ。葦ペンで描かれた「糸杉のある麦畑」は現在アムスレルダムのゴッホ美術館に収蔵されている。
他にも「糸杉のある麦畑」油彩画 2点が制作された。メトロポリタン美術館に収蔵されている作品とほぼ同じサイズである作品(ロンドンの国立美術館に収蔵)と、より小さいサイズの作品である(個人蔵に収蔵)。
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