作品概要
《自画像(耳に包帯をしたもの)》は、画家のフィンセント・ファン・ゴッホによって制作された作品。制作年は1889年から1889年で、コートールド美術研究所に所蔵されている。

ゴッホの有名な自画像のひとつ。1889年南フランスのアルルにおいてゴッホは尊敬していたポール・ゴーギャンと共にゴーギャンが開設した芸術家たちの共同アトリエ”黄色の家”にて共同生活を送っていた。
この作品はその当時の有名な”耳切り事件”の直後に描かれたものである。当時ゴッホはモチーフを実際に見て描く写実主義をとっていたが、写実主義を否定していたゴーギャンとの芸術感の違いから生活上でもいざこざが耐えなかった。
ある夜に芸術論から大喧嘩となりゴッホはゴーギャンをカミソリを持って追い回した挙句、自身の耳を切り落としたという。このころのゴッホの作品には筆のタッチを活かした画風で有名だったモンティセリの影響が随所にみられる。
自画像の視線は冷静でこちらに眼差しを向けており、どこか不安な印象を受ける。この作品制作後もゴッホは幻聴と幻覚に障害悩まされ続けたという。
背後にはゴッホがコレクションしていた日本の浮世絵が見えるが、これは佐藤虎清の芸者であるという説が強い。耳切り事件後の自画像についてはこの作品の他に”パイプをくわえた自画像”が同じくロンドンのコートールド・ギャラリーに展示されている。こちらの作品は赤を基調にした作品で同じモチーフでも印象は異なる。
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