作品概要

ホテル・エドガー・キネ》は、画家の藤田嗣治によって制作された作品。制作年は1950年から1950年で、カルナヴァレ美術館に所蔵されている。

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《ホテル・エドガー・キネ》は、エコール・ド・パリの代表的な画家であり、日本画の技法を油彩画に取り入れながら、独自の乳白色の肌と呼ばれた裸婦像を描いた藤田嗣治(1886-1968)が1950年に制作した油彩画である。

藤田、戦後パリに戻る

第2次世界大戦中の1940年5月に、ドイツ軍侵攻により陥落寸前のパリを脱出し、藤田は帰国した。それから母国で10か月を過ごし、1950年2月にニューヨーク経由でパリに戻った。この絵はその直後の早春に描かれている。

ひさしぶりにパリに戻った藤田は、当時63歳。新たな生活に期待と不安を抱きながらも、戸外に出かけ、街並みを描きはじめた。本作はモンパルナス界隈の大きな並木道に面したホテルを、初めてパリを訪れたかのように新鮮なまなざしで描かれている。

本作は、《フレール河岸》と同じ年に描かれている。《フレール河岸》がノートル=ダム大聖堂を描いたパリへのオマージュなら、本作はモンパルナスのオマージュといえる。藤田は「私が巴里に着いたのもモンパルナス、有名になったのもモンパルナス」と語っている。藤田にとってモンパルナスはパリの象徴だった。

パリと対話

木々はまだ葉がなく、春を待っている。犬と遊んでいる赤い帽子をかぶった少女が全体の緊張感を緩め、生活者の目の高さに視点を置いている。さまざまな思いが駆けめぐるなかパリに戻った藤田は、この少女を通してパリとの対話を再開する糸口を探していたのかもしれない。

本作は《フレール河岸》同様、何の変哲もない建物を正面からしっかりととらえている。1952年にパリのカルナヴァレ美術館に寄贈されている。

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基本情報・編集情報

  • 画家藤田嗣治
  • 作品名ホテル・エドガー・キネ
  • 英語名Hotel Edgar Quinet
  • 分類絵画
  • 制作年1950年 - 1950年
  • 製作国フランス
  • 所蔵カルナヴァレ美術館 (フランス)
  • 種類油彩
  • 高さ27cm
  • 横幅22cm
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