作品概要
《ラ・フォンテーヌ頌》は、画家の藤田嗣治によって制作された作品。制作年は1949年から1949年で、ポーラ美術館に所蔵されている。

《ラ・フォンテーヌ頌》は、エコール・ド・パリの代表的な画家であり、日本画の技法を油彩画に取り入れながら、独自の乳白色の肌と呼ばれた裸婦像を描いた藤田嗣治(1886-1968)が1949年に制作した油彩画である。
擬人化された狐
擬人化された狐の家族が食卓を囲んでいる。子どもたちが喧嘩をしたり、床で行儀悪く食事をしたりしていて、夫婦がなかなか食事をはじめることができない。全体として動きのある構成でまとめられている。こうした技術は戦時中にかけて獲得したものと思われる。
室内には、藤田が理想の家として1948年に製作した模型にみられる厨房や階段、暖炉などがある。画面右端の黒縁の眼鏡をかけた使用人風の狐は家の鍵を携えており、この家の主人、つまり藤田本人を表しているのかもしれない。
人間に対する不信感
壁には17世紀フランスの詩人、ジャン・ド・ラ・フォンテーヌによる『寓話』のカラスと狐の1コマを表した絵画がかけられている。動物たちを主人公にして、教訓を盛りこんだ話が詩文形式で綴られている。
この物語は、チーズを食べようとくわえていたカラスが、狐に美声の持ち主だとおだてられて、声を出そうとした瞬間にチーズを落とし、奪われてしまったという話しだ。人間の皮肉をたっぷり描いたもので、戦争中から戦語にわたって、人間の豹変ぶり、狡さ、闘いを見てきた藤田の人間に対する不信感を思わせる。
本作はニューヨークで制作され、1949年秋にマシアス・コモール画廊での個展に出品され、翌年パリでサロン・ドートンヌにも出されている。
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