作品概要
《横たわる裸婦と猫》は、画家の藤田嗣治によって制作された作品。制作年は1921年から1921年で、プティ・パレ美術館に所蔵されている。

《横たわる裸婦と猫》は、エコール・ド・パリの代表的な画家であり、日本画の技法を油彩画に取り入れながら、独自の乳白色の肌と呼ばれた裸婦像を描いた藤田嗣治(1886-1968)が1921年に制作した油彩画である。
モデルはキキ
1920年代、滑らかな白い詩たちに抱えれた裸婦によって藤田はパリで有名になった。1921年の《横たわる裸婦と猫》は、現存するこの画家の裸婦としては最も古いものだ。
モデルは、モンパルナスの女王と呼ばれた職業モデルのキキだった。同年のサロン・ドートンヌの出品作である可能性が高い。出品目録には「826番裸婦」としか記載されておらず、大きさも図柄もわからない。しかし、この作品のほかに、この年裸婦の大作は描かれていない。
藤田の裸婦
藤田の裸婦は、緊張感のある線と白い肌が特徴だ。それは、日本の浮世絵を意識し、その伝統の上に成り立っていた。浮世絵が小さな紙のなかでの表現だったのに対し、藤田は大きな油彩画として完成させた。紙の上の繊細な線と白い肌を、油彩画にどういうふうに移しとるか悩み抜いた結果、この滑らかな白い下地が作りだされたのだろう。
藤田の裸婦がフランスで受けいれられたのは、単に日本趣味というだけではなく、ヨーロッパの伝統的な裸婦像を基本として描いていたからだ。当時、〝藤田のオランピア〟と評されたのは、エドゥアール・マネの《オランピア》(1867)のポーズを連想させたからだろう。乳白色の下地を生かした裸体とシーツに、黒髪、黒い背景、そして黒白の猫が配された。限りなくモノクロームの画面に胸元と唇の淡いピンクが印象的だ。
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