作品概要
《誕生日》は、画家の藤田嗣治によって制作された作品。制作年は1958年から1958年で、ポーラ美術館に所蔵されている。

《誕生日》は、エコール・ド・パリの代表的な画家であり、日本画の技法を油彩画に取り入れながら、独自の乳白色の肌と呼ばれた裸婦像を描いた藤田嗣治(1886-1968)が1956年に制作した油彩画である。
誕生日会に集まった子どもたち
大きなテーブルに子どもたちがたくさん集まっている。誕生日会の光景だ。正面の上のほうに座っている女の子がきょう誕生日を迎える主役だろう。頭に花の冠を載せた女の子は無表情のまま祈るようなポーズをとって、前方を見つめている。目の前にはラッピングされたプレゼントが置かれている。
ほかの子どもたちはみんなきれいにおめかしをしているが、コーヒーをこぼしたり、両手を広げて話をしたり、それぞれに騒いでいる。個人主義のフランスならではの光景だ。
そんな子どもたちがテーブルを囲む大きな丸いテーブルの中央には、5本のロウソクが立てられた大きなケーキが置かれている。これからテーブル中央のケーキのロウソクに火がつけられ、楽しい時間がはじまる。まだ子どもたちが騒いているので、ケーキが切り分けられるまでには時間はかかりそうだ。
画家の子どもたちへの愛
ウェイトレスの役目も子供がつとめている。窓の外にはパーティの様子をのぞく、ケーキが食べられない子どもたちが頭をのぞかせている。パーティに呼ばれなかったのだろうか。
他の子どもを描いた作品と同じく、本作もやや俯瞰した構図をとっている。そうすることで、全員の姿がほぼ重なることなく描かれている。思い思いの動きや表情をみせる子どもたちに、画家は平等に優しい愛情を注いでいるように思われる。
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