作品概要
《オルタ・デ・エブロの工場》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1909年から1909年で、プーシキン美術館に所蔵されている。

1909年、ピカソは恋人のフェルナンド・オリヴィエを連れて、オルタ・デ・エブロへ夏の休暇に訪れる。これは彼の最初の訪問ではなく、彼の親しい友人であるマニュエル・パラレス一家と共に、10年ほど前にこの山村を訪れ、7ヶ月ほど滞在していた。その訪問がピカソの初の田舎での滞在経験であった。
彼は後にこう話している。「私が知っていることの全ては、パラレスの村で学んだことだ。」
1909年の二回目の訪問は、それと同じほどには楽しい思い出とはならなかった。パラレス一家と他の村民たちは、ピカソとフェルナンドが未婚であることを好ましく思わなかったのだ。フェルナンド自身も休暇中のほとんどの期間で体調がすぐれなかった。
それにもかかわらず、荒涼とした風景、スタッコ仕上げの村の家々は、ピカソにインスピレーションを与え、彼の絵画的実験をより遠方へと導いた。彼の作品は、視覚的な実体は姿を潜め、幾何学的な要素が増えていき、新しい作風へと徐々に進歩を遂げた。興味深いことに、彼がパリに帰ったときに、ピカソは彼の友人であるジョルジュ・ブラックがほとんど同一の画調で創作活動中であることを知る。
そして、二人は共同して新たな「主義」を生み出すのだ、キュビズムである。キュビズムは、3Dである対象物を、2Dであるキャンパスにおさめることに着目する、現代芸術の最も影響力の高い主義の一つである。
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